松のデレマスブログ

乃々ちゃん、なつきち、志乃さんを応援しています。「ノーティギャルズ」も好きです。あと毎日更新します。コメントもお気軽にどうぞ。可能な限り返信します。

「ドミ◎ドナ」についてssを書きました。私の思う理想像(?)です。

こんばんは。松です。


  色々悩みながら頑張って書きました。
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序章

  ここは事務所だ。法子が新装開店したドーナツ屋さんのチラシを見ながら時子に話しかけている。

「ねえ、新しくドーナツ屋さんが出来たんですよ! 時子さん、一緒にいかがですか?」
  チラシを見せながら法子は言う。そのチラシには長年生地をこねてきて力自慢だと言うシェフの顔が写っている。

  時子はため息を吐きながら答える。
「……日程と時刻を言ってくれなきゃ何とも言えないわ。それに、私よりも同年代のアイドルの方がスケジュールとか合わせやすいんじゃなくて?」

  法子は返答する。
「いやせっかくだからと思いまして! だってみんなで食べた方が美味しいでしょ!」

  そんな最中、テレビではニュースが流れている。「昨日の夜未明、○○××付近にて女性が……」明るいニュースではないようだ。

  Pはそれを見ながら法子に向けて言う。
「この辺じゃないか。最近は物騒だなー。法子ちゃんもドーナツ屋さん巡りはいいけど、夜の暗い時や一人な時には避けてくれよ。」

  法子はちょっとムッとした表情で答える。
「わかってるよー!」

  Pは続けて時子へと言う。
「時子さんも大人とはいえ油断大敵、相手が何をしてくるか分かりませんから、同じく気をつけて下さいね。」

  時子はつまらなさそうに言う。
「当たり前よ。困ったらタクシーを呼ぶなり、事務所のスタッフを付き添わせるなりするわ。」

  Pは他のアイドルたちにも注意喚起をしに行った。法子は他のお店のチラシやスケジュール帳を取り出して他のアイドルにドーナツ屋さん巡りを勧めている。

ある日の夜・その1

  法子と時子は、共に夜の事務所にいた。帰る支度をしている。それに気がついたPはまとめた荷物を確認しながら言う。
「おや、あんまり夜遅くにして欲しくなかったんだけど…… どうしたんだい?」

  法子は心配をかけたことを悪く思いつつも浮かれた様子で答える。
「ごめんごめん、ちょっと今日は頑張りすぎちゃったかな? 近々食レポがあるし、それに明日ドーナツ屋さんに行けると考えただけでウズウズして仕方ないもん!」

  Pは納得した様子で言う。
「それならしょうがないか。おや、時子さんも確か…… 近々ライブがありますから、それのレッスンですね。」

  時子はつまらなさそうに答える。
「説明せずに察してくれるならよろしい。さて、夜も遅いし帰らせてもらうわ。」

  Pは二人を見て、いいところを見せるチャンスだと声を少し上げて言う。
「なら私が付き添いますよ。なんだって物騒ですからね。法子ちゃんも一緒に行こう!」

  法子は喜びながら言う。
「わーい! この3人で帰ることなんて滅多にないから嬉しいね! 時子さんもよろしくお願いします!」

  時子はやれやれといった様子で言う。
「法子、これは遊びじゃないのよ……」

その2

  3人は夜道を歩き帰っている。事務所から駅まではやや距離があり、住宅街や夜には閉まるを通らねばならない。昼間や夕方こそ明るく人が通るが、夜となればほぼほぼ人はいない。

  そんな中Pはふと忘れ物に気がつき言う。
「悪いんですが、ちょっと事務所に戻らせてくれませんか? 倉庫と裏口の施錠を忘れてしまいましてね……」 

  法子は言う。
「それは大変。一緒に戻る?」

  Pが申し訳なさそうな顔で謝りつつそれに頷こうとしたところ、それを遮り時子は言う。
「頼りになると思いきや所詮、豚ね…… いいわ、ならすぐ行きなさい。法子は私は見ておいてあげる。」

  Pは、
「多分法子ちゃんの言う通り、一緒に戻るのが安全でしょうけど…… まあ、走れば往復で10分となく戻ってこられるでしょうからそれまでお願いします。」と言いながら、豚ならぬ猪のように真っ直ぐ道を戻っていった。

  そんなPの背中を見送った後、法子は言った。「二人ですね。どうします?」

  時子は答える。
「どうするもないでしょう? とっとと駅に向かって行くわよ。豚が追いつく前に駅に着いたらそれはそれで問題ないし、電話で済んだと伝えればいいわ。」

  二人は夜道を歩いていく。

その3

  夜道は薄暗く、何が現れてもおかしくはない状況である。ましてニュースの不審者情報を知っていれば当然だ。しかし、法子はあまり心配していなかった。というのも時子ならその睥睨にて誰であろうと、不審者であろうと退散させられると信じていたからだ。

  そんな時、何やら怪しい男が現れた。
  怪しい男はナイフをかざしニタリと笑いながら言う。「おうおう、お嬢ちゃん二人で夜道を歩くたぁ無用心だねぇ。俺の話を素直に聞いてくりゃあ、安全にここを通してやるんだが……」

「ひっ、何この人……」
  法子は先のようには思いつつもやはり目の前に現れたとなれば怯み、そしてこう言った。

  時子は答える。
「社会、いや人間のクズね…… こういう奴とは関わっちゃダメよ。下衆が移るわ。」

「なんだと! 生意気なアマだ!」
  男は憤慨し金属バットを構えて突撃してくる。時子はそれをかわし、ボディブローを1発打ち込んだ。怪しい男は苦痛に悶えて動きが止まる。そこに時子は更に足払いを加え転倒させ、更にかばんから鞭を取り出し手首を縛った。

  時子は笑いながら言う。
「私に牙を剥くからよ。ここで反省していなさい。明日の朝には誰かがここを通るかもね……」
続けて法子へ言う。
「さあ行くわよ…… いいえ、嫌な予感がするわ。そこの電柱の脇に少し隠れていなさい。」
「え、でも一緒に…… ううん、はい!」
と、法子は戸惑いながらも電柱の影に隠れる。

  その後、新たな覆面の巨漢が現れた。
「俺の部下がなかなか戻って来ないと思ったら、こんな女にやられてたのか」
そう言いながら出会い頭に拳を振り下ろしてくる。

  時子はそれをかわしながら言う。
「案の定よ。初見の挨拶にしては手荒ね……」

  男は言う。
「何が案の定かはわからんが、よく見りゃ女王様の財前時子じゃねぇか! こりゃいい! 痛めつけて、明日の紙面のトップを『女王国の陥落』にしてくれるぜ!!」

  男は拳を組みダブルスレッジハンマーを打つ。時子は当然それを交わし懐に潜り込んだ。そして、
「あんたなんかがご存知とは不名誉ねっ! 忘れてくれた方がマシよ!」
  そう言いながらアッパーを決めた…… が、効果がない。
「鍛えてるとはいえ、この俺には勝らないようだ。身の程を弁えな……」
  そこに抱きつき、ベアハッグを決める。時子は堪らず悶える。男は衰弱を確認したのち腕を離した。
  その時時子は、
「このまま一方的にやられはしないわ……せめて、正体くらいは明かしなさい……」
と男の覆面を奪った。男の素顔が明らかとなった。

  それを見た法子は電柱の影から飛び出して言った。
「あの、貴方はドーナツ屋の!」
  男は振り向いて言う。
「ん……? 俺の表の顔のことを知っているとはな…… だが知られてしまってはタダでは済ませられん。どこか遠くに送ってやるぜ。」
「ならせめてそうする前にこの私のドーナツを試食して下さい!」
  法子はバッグから差し入れの手作りドーナツの残りを渡す。
「ふんそうか。冥土の土産に感想でも教えてやろう。」
  大男は手渡されたドーナツを口に含み、何かを感じたのか法子に聞いた。
「このドーナツ…… どこで手に入れた?」
  法子は答える。
「正真正銘、私が作ったドーナツだよ! まだまだ試行錯誤中だけどみんなに試食して欲しくて持ってきたの!」
  大男は食べながら思った。
(このドーナツ、大昔に見様見真似で作った俺のと同じ味だ…… あの時はこんな風にゴロツキでも無く、真っ直ぐドーナツに向かい合ってたなぁ……)
  大男は涙を浮かべる。
(あの時はみんなに喜んでもらいたくて…… ああ、今の俺は何をやっているんだ? 金のために人を傷つけるなんてよ……)
  大男は食べ終えて法子に言った。
「美味かったよ、懐かしい味だった。お前はこれからいいドーナツの担い手になれるさ。そして、済まなかった……」
  大男は逃げるように去っていく。法子は困惑したものの、すぐに倒れている時子に駆け寄る。時子は聞く。
「何故か分からないけれど、見逃してくれたみたいね…… 何をしたのかしら?」
  法子は自身も当惑しながら答える。
「ドーナツを食べたら急に泣き出して…… あ、あとあの人はドーナツ屋さんの人だった!」
時子は諭すように答える。
「そうだったの…… あなたのおかげで助かったわ…… あなたのドーナツが救ってくれたのよ、誇りに思いなさい。」

……その後Pが戻ってきたが、状況に驚くばかりであった。

後日の朝。

  法子とPは事務所にてあの大男からの手紙を発見し、一緒に読むことにした。
  手紙にはこう記してある。<俺はドーナツ屋の店主だ。これを読んでいるときには俺はもう自分の組ごと自首していることだろう。法子よ、お前のドーナツを食べて昔を思い出せた。そして悪いことをしていると気がついたのだ。ありがとう。時子にも済まないと伝えてくれ。
>
「そうなのか……」
  Pと法子は言う。そしてPは続けて、
「いいニュース、と言っていいかはわからないけど、時子さんは3日もあれば復帰できるとお医者さんは言っていたよ。もちろんライブとかのスケジュールは調整しなきゃだけどね。つまり、またすぐ元気になって会えるんだ。」
  法子ちゃんはそれで少し元気を取り戻し言った。
「そうなの! 他にも行きたいドーナツ屋さんがあったから、時子さんもご一緒にどうかなと思ってたところなの! 退院祝いも兼ねて、買ってこようかな! むしろ今すぐお見舞いに……!!」
  Pは穏やかな表情で法子を見ていた……



  おしまい。


あとがき

  私が『ドミ◎ドナ』に足りないと感じているもの、それは共生関係と気がつきました。その不満足を昇華させたつもりであります。
  そこで法子ちゃんが時子様をドーナツで制すだけでなく、時子様をも凌ぐ剛なる者を法子ちゃんが柔にて制すという形を取りました。
  少年漫画的な文脈でこそこの二人の協力関係を私自身を納得させられると思ったのです。


  あと大男について、スポポビッチかボージャックをイメージして書きました。誰彼構わず暴力を振るう大男、のイメージが彼くらいでしたから……


ご覧いただきありがとうございました。